みなさんが、インプラント治療を受けようとする場合、費用もかかるし、手術にもなるしということで慎重にお選びになると思います。

私も、インプラントを供給するインプラントメーカーとして、どこを使うかについては頭を悩ませました。実は世界には、400社近いインプラントメーカーがあるのです。

結論から申し上げますと、私は以下の点を重視し、インプラントメーカーを選びました。

  1. インターナショナルジャーナルと言われる国際的な専門学会誌により、よくそれを使ったインプラント治療の報告がなされていること。特に、どのくらい長持ちするかといった予後についての報告があること。
  2. 会社が信頼に足る規模で、研究開発が十分に行われていること
  3. 学術的にも、インプラント学をきちんと学び、開業医がステップアップしていける道筋があること

それぞれの思いを説明していくと

まず、1の予後についてしっかり報告がされていることについてです。ご承知のようにインプラント治療は自費であり、費用がかかります。私たち医療者と患者さんにとって、もっともハッピーなのは、治療したインプラントが長持ちすることです。5年、10年、15年、20年とインプラントが長持ちすればするほど、当初かかった費用は、1日あたりのコストが安くなる結果、割安になります。従って、説得力を持って、このインプラントの10年生存率は、どれくらいと言いたかったのです。現在、科学的根拠に基づく治療の必要性が叫ばれておりますが、科学的根拠の信頼性には、格付けがあり、この研究は、信頼性が高いとか、低いとか言ったりします。そうした点で、メーカーにその予後についてできるだけ信頼性の高い研究はある?効いて回ったわけです。すると、メーカー(業者)内の甘い基準の研究しかないメーカーが多数ありました。

次に2についてです。現在、チタン製のインプラント治療が始まって約40年ですが、この間に、あまりにも質の悪い会社は、だいぶ淘汰されました。その結果、インプラントの予後は、おおむね良好(10年後でも90%以上は残存)なことがわかっています。

従って、インプラントはとても長持ちします。だからこそ、急速に世界に広がったのですが、問題はここからです。お口の中は、ものを噛み、消化する作業場です。1年365日休みはありません。従って、インプラントをとめているネジが折れたりすることも起こるかもしれません。それが、例えば15年後に起こったとして、そのとき、インプラントメーカーがつぶれており、そのパーツが買えなかったらどうでしょうか。また、日進月歩のインプラント学にアップツーデイトしていくためには、インプラントメーカーも研究開発が不可欠です。そうすると、会社の規模や売り上げ、経営状況などでもしっかりしたメーカーを選ぶ必要があると感じました。

4、についてです。インプラント学を日々勉強し、最新の知識と技術を身につけていこうとする場合、日本の歯科医師の卒前卒後教育は、かなり遅れております。従って、そうした環境を以下に整えるかと言うのもとても大事な課題です。

  先日、ブレードインプラントといって、20-30年前によく行われたインプラントを他院にて4-5年前にいれられ、それと連結した天然歯が歯周病でぐらぐらになって 治療をした患者さんがおりましたが、こうしたことは、専門医制度の整った欧米では、少ないのではないでしょうか。

私見ですが、以上の3点を満たすメーカーとなると、おそらく5-6社程度になってしまうのではないでしょうか。当院では、さらに必要な手術回数や使いやすさも踏まえて ストローマン社製のインプラントのみを使用しております。

このストローマン社のユニークなところは、お互いに全く独立した関係にあるITIという 世界最大の民間インプラント研究機関と連携しているところです。

わたしもこのITIのメンバーとなっており、この学術団体が定期的に更新する情報を勉強しながら、また、ITIのトリートメントガイドに沿ってインプラント治療を行っております。

ITIのインプラントよりも、単価が安いインプラントは、たくさんあります。

しかし、インプラント治療が、高いか安いかと言う問題は、それがどのくらい長持ちしたかを抜きに語るのは全く無意味だと思います。初期の治療費が1本当たり5万円安く出来ても、それが長持ちしなければ結局その治療費は無駄になってしまうのです。

もちろん、長持ちさせるためには、歯科医院でのメンテナンス(定期的なチェックとクリーニング)は必要不可欠です。インプラントは、歯周病になるわけですが、その性質上、天然歯のようにすぐぐらぐらしません。インプラントがぐらぐらしていたら、まず、そのインプラントは撤去するしかないと思ってもよいでしょう。

従って、インプラント治療を考えているみなさんに私からアドバイスするとしたら、 インプラント治療をどこで受けるかは、当初支払うインプラント治療費だけで考えないことです。

さきほどインプラントも歯周病になるといいましたが、歯周病が元で歯が抜けインプラントになった方は、10年後に30-40%のインプラントが歯周病になるのに対し、 むし歯が原因でインプラントになった方は、10年後で5%程度しかインプラント歯周炎にならない報告もあります。従って、歯周病をきちんと治してからインプラント治療をしなければなりません。

あなたが、選ぼうとしている歯科医院は、歯周病治療で信頼に足りますか?また、外科手術や補綴・かみあわせ治療に信頼できますか?そして、きちんとしたメインテナンスシステムが整っていますか?

そうしたすべてを考慮し、インプラント治療や、その費用を捉えていただけると良いと思います。