特養ホームのお年寄りのお口の中を見て感じたこと

昨年7月の開業以来バリアフリーとなり、車イスのかたも自由にご来院できるようになったため、特養ホームや介護施設に入所しているお年寄りの方のご来院が増えてまいりました。

そうした人たちの来院理由はさまざまですが、お口の中を全体的に診査させて頂くとむし歯や歯周病で惨澹たる状況であることが多いと感じています。

きちんと治療すれば、お食事をもっとよく取れるのにと思うのに健康状態の問題や通院の足がないこと、呼吸や飲み込みといった機能も低下しているため歯をドリルで削ること自体に耐えられないなどの理由により最低限の治療にならざるを得ないことが少なくありません。

そうした場合の治療の多くが、入れ歯の作成や修理となるわけですがお年寄りの多くが入れ歯に対する適応能力が落ちていたり、入れ歯の粘膜へのあたりを緩衝してくれる唾液分泌も老化や内服薬の副作用により少なくなっており若い方のように入れ歯を使いこなせるか心配になってしまいます。

こうしたいわゆる終末期の歯科医療を考えるとき、在宅歯科医療の果たす役割はもちろん大切になってくるわけですが、在宅に持ち込める歯科医療器具にも限度があります。

かかりつけ歯科医の重要性

私は、もっとも大切なのは、もっと若いとき、すなわち少なくとも中高年世代からかかりつけ歯科医で定期的なチェックとクリーニング(定期健診・メインテナンス)を繰りかえし、そもそもお口の中の状況をこれほど惨澹たる状況にしないような歯科医療のあり方がもっとも大切だと考えます。

悪くなってから治すのではなく、そうならないように予防管理することこそが必要になると思うのです。
当院は、そうした人たちの受け皿になり得るよう診療所を昨年新規開業いたしました。

信頼して定期的にきて下さる患者さんだけは、せめて、『うちに通院したおかげでいっぱい歯が残ったよ』と言ってもらえるよう、スタッフ一同、努力を続けて行きます。

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