歯周病で抜歯は必要になりますか?
あなたは歯科医院で「歯周病が進行しています」と言われたことはありませんか?そのとき、頭に浮かぶのは「抜歯が必要なのか」という不安かもしれません。
歯周病は日本人が歯を失う最も大きな原因です。しかし、適切な治療を行えば、多くの歯は保存できます。
歯周病における抜歯の判断基準
歯周病で抜歯が必要になるのは、以下のような場合です。
骨吸収が根尖近くまで進行している場合
歯を支える骨(歯槽骨)の吸収が歯根の長さの3分の2以上に及んでいる場合、歯の保存は困難になります。レントゲン写真で確認できます。
動揺度が著しく高い場合
歯の動揺が3度(指で容易に動く状態)に達している場合、機能回復は困難と判断されます。
根分岐部病変が重度の場合
奥歯の根の分かれ目(根分岐部)の病変が進行し、3度に達している場合です。清掃が困難で、炎症のコントロールができません。
では、これらの状態になったら、必ず抜歯しなければならないのでしょうか?
保存の可能性を探る
当院では、抜歯の判断を下す前に、必ず保存の可能性を十分に検討します。
歯周基本治療の徹底
プラークコントロールを20%以下まで改善し、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)を徹底的に行います。基本治療だけで驚くほど改善するケースも少なくありません。
歯周外科治療の検討
基本治療後も深いポケットが残存する場合、歯周組織再生療法を検討します。そうすることで、失われた歯周組織の再生が期待できます。
力のコントロール
咬合性外傷が認められる場合、ブラキシズムの改善や咬合調整を行います。さらに、歯周補綴やインプラント治療を行い、炎症と力の問題を同時に解決することが重要です。
あなたの歯は、本当に保存不可能でしょうか?
実際の症例から学ぶ
当院では、他院で抜歯を勧められた重度歯周病の患者様でも、多くの歯を保存できています。
26歳の女性の症例では、根尖近くまで骨吸収が進行した侵襲性歯周炎でした。しかし、フルマウスディスインフェクション(FMD)と徹底したプラークコントロールにより、7年間にわたって歯を保存できています。
71歳の男性では、重度の根分岐部病変があった歯も、基本治療の徹底により外科治療なしで改善しました。
これらの症例に共通するのは何でしょうか?それは、患者様の協力と継続的なメインテナンスです。
保存のための条件
歯周病の歯を長期間保存するには、以下の条件が必要です。
患者様の協力
プラークコントロールレコード(PCR)を20%以下、できれば10%以下に維持することが必要です。口腔清掃への取り組みが治療成功の鍵となります。
定期的なメインテナンス
治療終了後も、1〜3ヶ月間隔でのメインテナンスが必要です。初期段階では月1回、安定後は3ヶ月間隔での管理を行います。
力のコントロール
歯ぎしりや上下歯列接触癖(TCH)の改善、必要に応じてナイトガードの使用が重要です。
あなたは、これらの条件を満たすことができますか?
抜歯を避けるために今できること
歯周病の進行を止めるために、今すぐできることがあります。
正しいブラッシング
歯間ブラシやデンタルフロスを使用した隣接面の清掃が重要です。特に奥歯の分岐部は要注意です。
禁煙
喫煙は歯周病治療の大きな阻害因子です。治療効果を最大化するため、禁煙をお勧めします。
早期の専門治療
歯周病専門医による適切な診断と治療計画の立案が重要です。
あなたの歯周病は、どの段階にあるでしょうか?
抜歯が必要な場合の対応
それでも抜歯が避けられない場合があります。その際は、以下の点を考慮します。
隣接歯への影響
感染源となる歯を残すことで、隣接する健康な歯に影響を与える可能性があります。
全身への影響
重度の歯周病は全身の健康にも影響します。糖尿病や心疾患のリスクを高める可能性があります。
将来の機能回復
抜歯後の補綴治療(インプラント、ブリッジ、義歯)の可能性も考慮する必要があります。
抜歯になった場合でも、適切な補綴治療により機能回復は可能です。
まとめ
歯周病だからといって、必ずしも抜歯が必要というわけではありません。
重要なのは、正確な診断に基づいた適切な治療計画です。当院では、患者様の全身状態、生活背景、価値観を十分に考慮して治療方針を決定します。
歯のためだけに生きているわけではありませんが、健康な歯は豊かな人生を支える重要な要素です。
あなたも、歯周病専門医による適切な診断を受けてみませんか?きっと、思っているより多くの歯を残せるはずです。
早期の対応が、あなたの歯を救うことになるかもしれません。

