インプラント周囲炎とは何ですか?予防法はありますか?
インプラント周囲炎とは?~あなたのインプラントを守るために知っておくべきこと~
インプラント周囲炎って何でしょうか?
インプラント周囲炎とは、インプラント周囲の歯肉や骨に起こる炎症のことです。天然歯の歯周病と似た状態と考えていただければよいでしょう。
あなたは「インプラントは人工歯だから虫歯にならない」と思っていませんか?確かに人工歯自体は虫歯になりません。しかし、インプラント周囲炎という新たな病気にかかる可能性があるのです。
インプラント周囲炎の進行段階
インプラント周囲炎には段階があります。
インプラント周囲粘膜炎から始まります。これは歯肉にのみ炎症が起こった状態です。適切な治療を行えば回復が可能です。
しかし放置するとインプラント周囲炎に進行します。この段階では、インプラントを支えている骨まで吸収が起こってしまいます。骨が溶けてしまうと、インプラントが抜け落ちる可能性があります。
あなたは高額な治療費を支払ったインプラントを失いたいでしょうか?そんなことはないですよね。
なぜインプラント周囲炎が起こるのでしょうか?
インプラントは「清潔なとげ」として口腔内に存在しています。これが不潔になれば、当然「不潔なとげ」は膿んでしまい排除されてしまいます。
特に注意が必要なのは、過去に歯周病で歯を失った方です。研究報告によると、10年後のインプラント周囲炎の累積発生率は、歯周病で歯を失った方では28.6%、それ以外の理由(虫歯・破折・根尖病変など)で失った方では5.8%となっています。
この数字を見て、どう思われますか?歯周病の既往がある方は、より注意深い管理が必要だということがお分かりいただけるでしょう。
インプラント周囲炎の予防法
1. 毎日のプラークコントロール
最も重要なのは、ご家庭での歯ブラシの励行です。インプラント周囲に汚れを溜めないことが基本となります。
歯周病の既往がある方は、特に厳密なプラークコントロールが必要です。普通の歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやフロスも使用しましょう。
2. 定期検診の受診
当院では定期検診を必須としています。なぜでしょうか?
インプラント周囲粘膜炎の段階で発見し治療することが、インプラントを長持ちさせる秘訣だからです。骨まで吸収が進んでしまうと、外科処置しか治療法がありません。
定期検診の間隔は最大4ヶ月です。年に3回以上は必ずお越しください。
3. 生活習慣の改善
過度の喫煙、飲酒、糖尿病はインプラントの成功を制限する可能性があります。これらの生活習慣は歯肉の治癒に悪影響を与えるからです。
特に喫煙は重要な問題です。術前2週間、術後8週間は禁煙していただきます。それ以降も禁煙を続けることをお勧めします。
インプラント周囲炎の治療について
もしインプラント周囲炎になってしまった場合、どのような治療が行われるのでしょうか?
非外科的治療
初期段階では非外科的治療を行います。具体的には以下のような治療です:
– 縁上縁下の歯石除去(デブライドメント)
– ポケット内洗浄
– 抗菌的光線力学療法(a-PDT)
– 局所抗菌薬の投与
治療期間は2ヶ月程度で、一週間おきに8回通院していただきます。
外科的治療
非外科的治療で改善が見られない場合、外科的な治療が必要となります。外科的掻爬や外科的再生療法を行います。
これらの治療は全て自費診療となります。そうならないよう、予防に努めることが最も大切です。
まとめ
インプラントを長持ちさせるためには、術後管理が欠かせません。あなたの大切なインプラントを守るために、以下の点を心がけてください:
1. 毎日の丁寧なプラークコントロール
2. 定期検診の確実な受診
3. 禁煙・節酒などの生活習慣の改善
当院で使用しているストローマンインプラントの12年後の生存率は94.8%、成功率90.8%と報告されています。これは適切な管理があってこその数字です。
あなたはインプラントを一生使い続けたいと思いませんか?そのためには、あなた自身の協力が不可欠なのです。
何かご不明な点やご心配のことがございましたら、遠慮なくご相談ください。一緒にあなたのインプラントを守っていきましょう。