歯間ブラシの選び方を教えてください。

歯間ブラシの選び方:歯周病専門医が教える正しい選択と使い方

あなたは歯間ブラシを正しく選べていますか?歯周病治療において歯間ブラシは極めて重要な清掃用具です。当院では多くの患者さんに歯間ブラシの指導を行っております。適切な歯間ブラシの選択は、歯周病の改善に直結します。

隣接面の清掃に使えるツールとして、当院では3つご用意があります。

①歯間ブラシ・フロス ②音波ブラシ ③ミントハブラシΔ

ここでは歯間ブラシについてご説明します。

歯間ブラシはなぜ必要なのでしょうか?

歯と歯の間(隣接面)は歯ブラシの毛先が届きにくい部位です。この部位にプラークが残存すると歯周病が進行します。特に歯周ポケットが深い部位では、歯間ブラシなしでは十分な清掃ができません。

臨床症例では、歯間ブラシを使用しない患者さんのPCR(プラーク除去率)は改善が困難となります。一方で、適切な歯間ブラシを使用した患者さんでは、PCRが劇的に改善することが確認されています。

サイズ選択の基本原則

まずは4Sサイズから始めてみませんか?

歯間ブラシのサイズ選択は段階的に行います。多くの場合、4Sサイズから開始することをお勧めしています。

  • 4Sサイズ(0.7mm):最も細いサイズ
  • SSSサイズ(0.8mm):4Sの次のステップ
  • SSサイズ(1.0mm):中間サイズ
  • Sサイズ(1.2mm):やや太めのサイズ
  • Mサイズ(1.5mm):太めのサイズ

サイズ選択の判断基準

歯間ブラシは「抵抗を感じる程度」で挿入できるサイズを選択します。あまりにも楽に通る場合は、プラーク除去効果が不十分となります。逆に、強い抵抗がある場合は歯肉を傷つける可能性があります。

当院での症例では、初回指導時に4SサイズとSサイズの併用を提案することが多くなっています。歯間の開きは部位によって異なるためです。

部位別の使い分けはご存知ですか?

前歯部

前歯部は歯間が狭いことが多く、4SサイズやSSSサイズが適しています。特に下顎前歯部では、より細いサイズが必要となることが多くあります。

臼歯部

臼歯部は前歯部よりも歯間が広いことが一般的です。SサイズやMサイズが適用されることが多くなります。ただし、歯周病の進行度により選択サイズは変化します。

治療後の変化への対応

歯周治療後は歯肉の退縮により歯間が広がることがあります。この場合、より太いサイズへの変更が必要となります。定期的なサイズの見直しが重要です。

正しい使用方法をマスターしていますか?

基本的な使用手順

  1. 挿入角度の確認:歯軸に対して垂直に挿入します
  2. ゆっくりとした挿入:無理な力を加えず、抵抗を感じる程度まで挿入します
  3. こすり付ける動作:左右の歯面に対して5回程度こすり付けます
  4. ゆっくりとした引き抜き:急激な動作は避けます

よくある間違い

多くの患者さんが「歯間に通すだけ」で終わっています。これではプラーク除去効果は不十分です。重要なのは「歯面にこすり付ける」動作です。

当院の症例では、この点を修正するだけでPCRが大幅に改善した事例が多数あります。

歯間ブラシ選択時の注意点

歯肉の状態を考慮していますか?

炎症が強い歯肉では、最初は細めのサイズから開始します。炎症の改善とともにサイズアップを検討します。無理に太いサイズを使用すると、歯肉を傷つける可能性があります。

根面の形態への配慮

歯根の形態は複雑です。特に根面溝(グルーブ)がある部位では、より注意深い清掃が必要となります。

プラーク除去の確認方法

プラーク除去の確認には、プラーク染色液の使用が効果的です。赤く染まった部位が清掃不足の証拠となります。

歯間ブラシの交換時期とメンテナンス

いつ交換すべきでしょうか?

歯間ブラシの毛先が広がったり、ワイヤーが曲がったりした場合は交換時期です。一般的に1週間程度での交換をお勧めしています。

清掃後のケア

使用後は水で洗浄し、乾燥させて保管します。細菌の繁殖を防ぐためです。

症例から学ぶ歯間ブラシの効果

症例1:初期歯周炎の改善

35歳男性の症例では、歯間ブラシ(4SサイズとSサイズ)の導入により、PCRが63%から16%まで改善しました。歯肉からの出血も大幅に減少しています。

症例2:重度歯周炎での長期維持

重度歯周炎患者でも、適切な歯間ブラシの使用により長期間の歯の保存が可能となっています。SPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)期間中も、継続的な歯間ブラシの使用が重要です。

歯間ブラシ選択のよくある質問

Q: フロスと歯間ブラシはどちらが良いですか?

A: 歯間の状態により使い分けます。歯間が狭い部位ではフロス、歯間が広い部位では歯間ブラシが効果的です。歯周病の進行した部位では、歯間ブラシの方が効果的なことが多くなります。

Q: 痛みがある場合はどうすれば良いですか?

A: まずは細めのサイズから開始してください。それでも痛みが続く場合は、歯科医院でご相談ください。炎症が強い可能性があります。

Q: 電動歯ブラシと併用できますか?

A: はい、併用可能です。電動歯ブラシで表面を清掃し、歯間ブラシで隣接面を清掃するという使い分けが効果的です。

まとめ

歯間ブラシの選択は歯周病治療の成功に直結します。適切なサイズ選択と正しい使用方法の習得が重要です。

当院では個々の患者さんの口腔内状態に応じた歯間ブラシの選択と指導を行っております。歯周病の改善には、患者さんご自身の取り組みが不可欠です。

定期的なチェックアップにより、歯間ブラシのサイズや使用方法の見直しを行うことで、より効果的な歯周病管理が可能となります。

あなたも今日から適切な歯間ブラシを選択して、健康な歯肉を手に入れませんか?

この記事は日本歯周病学会専門医・指導医の監修のもと作成されています。個別の症状については、必ず歯科医師にご相談くださ

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