歯周病が進行するとどうなりますか?

あなたの歯ぐきから血が出ることはありませんか?歯がグラグラと動く感覚を覚えたことはないでしょうか?これらは歯周病が進行している重要なサインです。

歯周病は「サイレント・ディジーズ(静かな病気)」と呼ばれています。なぜでしょうか?初期段階では痛みがほとんどないからです。気づいた時には既に相当進行していることが多いのです。

初期段階:歯肉炎

歯周病の始まりは歯肉炎です。歯ぐきが赤く腫れます。ブラッシング時に出血することがあります。この段階では歯を支える骨(歯槽骨)への影響はまだありません。

あなたは歯磨きの時に血が出ても、そのまま続けていませんか?「強く磨きすぎたかな」と思って済ませてしまうことが多いでしょう。しかし、これが歯周病の最初のサインなのです。

この段階であれば、適切なプラークコントロールで改善可能です。歯科衛生士による専門的なブラッシング指導を受けることが重要です。

中等度歯周炎:骨の破壊が始まる

歯肉炎が進行すると、歯周炎になります。歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)が深くなります。4〜6mmの歯周ポケットが形成されます。

この段階では何が起こっているのでしょうか?歯を支える骨が溶け始めるのです。レントゲン写真で骨の吸収が確認できます。

あなたは冷たい水がしみるようになったと感じませんか?歯ぐきが下がって歯の根面が露出することがあります。これにより知覚過敏が起こります。

食べ物が歯の間に挟まりやすくなることもあります。以前は気にならなかったのに、最近よく挟まると感じたら要注意です。

この段階では歯科医院での専門的治療が必要です。SRP(スケーリング・ルートプレーニング)という治療で歯根表面の汚れや感染組織を除去します。

重度歯周炎:深刻な破壊

さらに進行すると重度歯周炎になります。歯周ポケットは7mm以上になります。骨の破壊が根の先端近くまで進みます。

この段階で何が起こるのでしょうか?歯がグラグラと動くようになります。食事の時に違和感を覚えるでしょう。硬いものが噛めなくなることもあります。

歯ぐきから膿が出ることがあります。口臭も強くなります。周りの人から指摘されたことはありませんか?

根分岐部病変も起こります。奥歯の根の間にまで感染が広がる状態です。清掃が困難になり、治療も複雑になります。

最終段階:歯の喪失

治療せずに放置すると、最終的に歯を失います。歯を支える骨がほとんどなくなるからです。

抜歯になった場合、どのような治療選択肢があるのでしょうか?

  • ブリッジ:隣の歯を削って連結した被せ物を作ります
  • 入れ歯:取り外し式の人工歯です
  • インプラント:人工歯根を骨に埋め込みます

しかし、これらの治療は時間と費用がかかります。元の天然歯に勝るものはありません。

全身への影響

歯周病は口の中だけの問題ではありません。様々な全身疾患との関連が明らかになっています。

糖尿病との関係はご存知でしょうか?歯周病があると血糖値のコントロールが困難になります。逆に糖尿病があると歯周病が悪化しやすくなります。

心疾患のリスクも高まります。歯周病菌が血管内に入り、動脈硬化を促進する可能性があります。

妊娠中の女性では早産や低体重児出産のリスクが高まることがあります。

予防と治療

歯周病の進行を防ぐにはどうすればよいのでしょうか?

最も重要なのはプラークコントロールです。毎日の適切なブラッシングが基本となります。歯間ブラシやフロスも併用しましょう。

定期的な歯科受診も欠かせません。3〜4ヶ月に一度の専門的なクリーニングをお勧めします。

禁煙も重要です。喫煙は歯周病の進行を早めます。治療効果も下がってしまいます。

症例から学ぶ

当院で治療した患者さんの例をご紹介します。57歳男性の方でした。右上の糸切り歯が折れて来院されました。

初診時のPCR(プラーク付着率)は63.5%でした。歯周ポケットは最深部で8mmありました。レントゲンでは広範囲に骨吸収が認められました。

この方は侵襲性歯周炎と診断されました。娘さんも同じ病気だったため、家族性の要因がありました。

治療では徹底したプラークコントロールから始めました。PCRが20%以下になるまで、SRPは行いませんでした。なぜでしょうか?プラークコントロールができていない状態でSRPを行っても、効果が限定的だからです。

3回のブラッシング指導で、PCRは17%まで改善しました。その後、4回に分けてSRPを実施しました。

根分岐部や根面溝にはミニファイブキュレットとTKファイルを使用しました。歯肉退縮を最小限に抑えるため、慎重に処置を行いました。

基本治療後の再評価では、BOPが0%になりました。4mm以上のポケットも9.8%まで減少しました。歯周外科の必要がなくなったのです。

現在はSPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)で良好な状態を維持しています。

まとめ

歯周病は進行性の疾患です。放置すると確実に悪化します。しかし、早期発見・早期治療で進行を止めることができます。

あなたの歯ぐきの状態はいかがですか?気になる症状があれば、ためらわずに歯科医院を受診してください。

歯周病の治療は患者さんと歯科医療従事者の二人三脚です。毎日のホームケアと定期的なプロフェッショナルケアの両方が不可欠です。

一生自分の歯で噛むために、今日から歯周病予防を始めませんか?

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