歯周病は遺伝しますか?

あなたの家族に歯周病で歯を失った方はいませんか? もしかして「うちの家系は歯が弱いから仕方ない」と諦めていませんか?

歯周病と遺伝の関係について、歯科医師として正確な情報をお伝えします。

歯周病に遺伝的要因はあります

結論から申し上げると、歯周病には確実に遺伝的要因が存在します。 特に侵襲性歯周炎では、この遺伝的要因が強く影響することが分かっています。

当院で治療した26歳の女性の症例をご紹介しましょう。 この患者さんは父方・母方の祖父が50代で歯周病により総義歯になっていました。 このような家族歴がある場合、遺伝的要因が強く疑われます。

あなたの家族はいかがでしょうか? 若くして歯を失った家族がいませんか?

家族内集積という現象

歯周病の専門用語で「家族内集積(family aggregation)」という現象があります。 これは同一家族内で歯周病が多発することを指します。

なぜこのような現象が起こるのでしょうか? 理由は二つあります。

  1. 遺伝的素因:歯周病に対する抵抗力の個人差
  2. 高病原性細菌の家族内伝播:悪玉菌が家族間で感染すること

あなたの家族は食事を共にしていませんか? 同じ箸やスプーンを使っていませんか? これらの行為により、歯周病菌が家族間で感染する可能性があります。

遺伝だけが原因ではありません

「遺伝だから仕方ない」と諦める必要はありません。 歯周病の発症には遺伝的要因以外にも多くの因子が関わっています。

歯周病の主な要因

  • プラーク(歯垢):最も重要な原因
  • 喫煙:免疫力を低下させる
  • 糖尿病:傷の治りを悪くする
  • ストレス:体の抵抗力を下げる
  • 噛み合わせの問題:歯に過度な力がかかる

遺伝的要因があっても、これらの因子をしっかりとコントロールすれば歯周病は予防できます。

遺伝的リスクが高い方への提案

もしあなたに遺伝的リスクがあるなら、より積極的な予防が必要です。

1. より徹底したプラークコントロール

通常以上に丁寧な歯磨きが必要です。 歯間ブラシやフロスの使用は必須となります。

2. 定期的な専門的ケア

3〜4ヶ月ごとの歯科医院でのメンテナンスをお勧めします。 プロによる歯石除去と歯面清掃は欠かせません。

3. 細菌検査の実施

あなたの口の中にどんな悪玉菌がいるかを調べます。 必要に応じて抗菌薬による治療も検討します。

当院での遺伝的リスク評価

当院では「歯の喪失リスク表」を用いて、患者さんの遺伝的リスクを含めた総合的な評価を行っています。

この評価により、あなたに最適な予防プログラムを提案いたします。 遺伝的リスクが高い方には、より細やかなフォローアップをご提供します。

希望を持ってください

遺伝的要因があっても、適切な管理により歯周病は十分にコントロール可能です。 当院で治療した重度の侵襲性歯周炎の患者さんも、セルフケアとメンテナンスにより長期間歯を保っています。

「遺伝だから」という理由で諦めるのではなく、遺伝的リスクを知ることで、より効果的な予防ができるのです。

あなたも今日から、家族の歯周病歴を振り返ってみませんか? そして、あなたに合った予防プログラムを一緒に考えていきましょう。

健康な歯で生涯を過ごすために、今できることから始めませんか?


この記事は日本歯周病学会専門医・指導医として、最新の科学的根拠に基づいて執筆しています。

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