インプラント治療にはどんなリスクがありますか?

インプラント治療のリスクについて

インプラント治療は多くの方にとって有効な選択肢ですが、他の外科処置と同様にリスクを伴います。患者さんが安心して治療を受けるためには、これらのリスクをきちんと理解しておくことが大切です。

手術に関連するリスク

インプラント手術に伴うリスクには以下のようなものがあります:

  • 痛み・腫れ・感染:手術後に生じることがあります。通常は数日で軽減しますが、適切な投薬と冷却で管理できます。
  • 神経損傷:下顎の手術では、下歯槽神経を損傷するリスクがあります。これにより唇や舌、顎、頬、歯の痺れが生じることがあります。神経損傷を防ぐため、インプラント先端を神経から2mm以上離す安全域を確保することが重要です。
  • 出血:手術中や術後に出血が生じることがあります。稀に止血が困難なケースもあります。
  • 上顎洞の穿孔:上顎奥歯の手術では、上顎洞(副鼻腔)を穿孔するリスクがあります。これにより軽い鼻血が出ることがありますが、多くの場合は自然に治癒します。
  • 動静脈の損傷:稀に血管を損傷することがあります。
  • 骨との結合不全インプラントが骨と適切に結合しないことがあります。上顎では100本中4~5本、下顎では100本中3~4本の割合で起こることがあります。

長期的なリスク

  • インプラント周囲炎インプラント周囲の組織が炎症を起こす疾患です。適切なプラークコントロールと定期的なメンテナンスが予防に重要です。特に歯周病の既往がある患者さんは注意が必要です。
  • 機械的な問題:上部構造(かぶせもの)の破損や緩みが生じることがあります。
  • 審美的な問題:歯肉の退縮により、金属部分が露出することがあります。

リスクを軽減するために

当院では以下の対策でリスクを最小限に抑えています:

  1. 詳細な術前診断:CT撮影による3D診断を行い、安全で正確な手術計画を立てます。
  2. サージガイドの使用:精密な手術ガイドを用いて、計画通りの正確な埋入を実現します。
  3. 鎮静法の活用:笑気ガスや薬剤による鎮静法で、患者さんの不安や緊張を軽減します。
  4. 厳格な術後管理:感染予防のためのうがい薬の処方や、適切な抗生物質の使用を行います。
  5. 定期的なメンテナンス術後の定期健診でインプラントの状態を確認し、早期に問題を発見します。

インプラント治療の選択

インプラント治療には確かにリスクがありますが、適切な診断と技術、術後管理によって高い成功率を得ることができます。当院で使用しているストローマン社製インプラントの12年後の生存率は94.8%、成功率は90.8%と報告されています。

インプラント治療を検討される際は、リスクだけでなく、他の治療法(ブリッジや入れ歯)との比較も重要です。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身に最適な選択をしていただきたいと思います。

あなたはインプラント治療をお考えでしょうか?ご不安な点やご質問があれば、遠慮なくお聞きください。私たちは患者さんの安全と満足を第一に考え、最適な治療をご提案いたします。

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