インプラント手術前の検査にはどのようなものがありますか?
インプラント手術前の検査
インプラント治療を成功させるためには、術前の検査が非常に重要です。当院では患者さまの安全と治療の確実性を最優先に考え、様々な検査を行っています。
術前検査の種類
1. CT検査とシミュレーションソフトによる3D診断
当院ではCT撮影を行い、顎の骨の状態を立体的に把握します。これにより、骨の厚みや高さ、神経や血管の位置を正確に確認できます。特に下顎では、下歯槽神経から2mm以上の安全域を確保することが重要です。こうした精密な検査があるからこそ、安全な手術が可能となります。
CTデータをもとに、3Dシミュレーションソフトで治療計画を立てます。これにより、インプラントの埋入位置や角度を事前に決定できます。骨の状態が良好な場合は、このデータを基にサージガイドという手術用ガイドを作製することも可能です。
2. 口腔内の検査
口腔内の衛生状態や周囲の歯の健康状態を確認します。特に歯周病がある場合は、インプラント周囲炎のリスクが高まります。Long-term implant prognosis in patients with and without a History of chronic periodontitis によれば、10年後のインプラント周囲炎の累積発生率は、歯周病の既往がある方で28.6%、ない方で5.8%と報告されています。このため、まず歯周病を治療してからインプラント治療を行うことが重要です。
3. 骨密度の評価
骨の質(密度)を評価します。骨密度が低い場合は、インプラントの初期固定が得られにくく、治癒期間を長くとる必要があります。通常、初期固定が良好な場合は4週間、骨密度が低い場合や骨造成を行った場合は12週間程度の治癒期間が必要です。
4. 全身状態の検査
糖尿病や骨粗鬆症などの全身疾患は、インプラントの成功率に影響します。過度の喫煙や飲酒も歯肉の治癒に影響を与え、インプラントの成功を制限する可能性があります。このため、全身状態を事前に把握し、必要に応じて医科との連携を図ります。
なぜこれらの検査が重要なのでしょうか?
インプラント治療は、適切な診査・診断に基づく計画がとても大切です。検査の結果、骨の量が足りない場合には骨造成が必要になることもあります。また、神経や血管の位置を正確に把握することで、術中・術後の合併症を予防できます。
当院では、これらの検査と診断を丁寧に行い、患者さま一人ひとりに最適な治療計画を立てています。インプラント治療に不安をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。専門的な立場から、最適な治療法をご提案いたします。
インプラント治療は自費治療となりますが、長期的に見ると費用対効果の高い治療法です。適切な検査と診断、そして治療後のメンテナンスにより、インプラントは10年以上の長期にわたって機能することが期待できます。あなたのお口の健康を生涯サポートするために、当院ではこうした検査と診断を大切にしています。