日本歯周病学会 専門医・指導医が行う歯周治療

日本歯周病学会は日本における歯周病の研究、教育、医療および予防を推進し、国民の保健の増進に寄与することを目的とする学会です。

日本歯周病学会では、認定医、専門医、指導医の資格があります。

認定医 3年間研修施設で研修して、基本的な歯周治療の知識と技量をマスターした上で
認定医試験に合格した歯周病学会員
専門医 5年間あるいは認定医取得後2年間研修施設で研修して、
専門的な歯周治療の知識と技量をマスターした上で専門医試験に合格した歯周病学会員
指導医 専門医取得後7年間学会および地域での指導的な研修をし、指導医試験に合格した歯周病学会員

日本歯周病学会では、学会に所属後5年以上経過すると専門医の受験資格が得られます。専門医になってからさらに7年経過すると指導医の受験資格が得られる様になります。

指導医は、認定医や専門医を育てる立場にあり、より厳しく歯科治療技術や学術的要求をクリアする必用があります。

指導医となるには、専門医を取得してから更に7年以上の歯周治療経験、学会への積極的参加と発表、地域医療への貢献、指導医にふさわしい症例報告、日本歯周病学会での試験に合格することが必須となっています。

日本の歯科医師人口は、現在10万人を越えています。(平成30年厚生労働省調べ)日本歯周病学会専門医の数は約1100名ですから、全国の歯科医師の約1.1%です。

指導医の数は約300名ですから、全国の歯科医師の約0.3%です。(平成27年厚生労働省調べ)

歯周病指導医・専門医の資格は維持のために生涯、新しい技術や知識を研鑽しなくてはなりません。

患者様には、治療に対する高度な技術、豊富な知識、経験をもった歯周病専門医なら安心して治療を受けられるでしょう。

日本歯周病学会認定の研修施設となりました

今後は日本歯周病学会認定医、専門医、指導医を目指す歯科医師を当院で研修を行い、国民の健康に少しでも寄与したいと思います。

日本歯周病学会認定の研修施設となりました

歯周病というと、みなさんどんなイメージがありますか?

中高年の病気という感じが多いのではないでしょうか。

確かに、症状として歯肉から出血するとか、歯がぐらぐらしてくるのはその頃なのですが骨吸収は、下図のようにもっと早い時期に起こっています。

歯周病の進行の仕方

この図は、横軸に年齢、縦軸に骨吸収の割合を%で表しています。

おおまかにいって、30歳前後から骨吸収が始まる方が85%(青と赤の線)、20歳前後で始まる方が10%(黒線)、一生かかってもぐらぐらしない方が5%(図に記載なし)といわれています。

したがって、中高年で自覚症状が出た頃からの治療では、抜歯をしたり、歯周外科をしたり、お口の中を立て直すのに、時間的にも、費用の面でも多くを費やし、痛い思いをしなくてはなりません。

しかし、定期検診のところでも触れたように、悪くなる前の20代ころから年に数回定期検診に来院していれば、この図のように年をとったからといって骨吸収していくわけではありません。

したがって、当院では下図のように、若いうちから歯周病の成り立ちやその進み方、定期検診の有効性をお話し、歯周病を発症させずに生涯維持管理することを目的にしています。

また、遅くとも、初期から中等度の歯周病のうちに治療ははじめ、治療完了後も定期検診することで進行を止めることを大きな目標にしています。

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もちろん、中等度から重症の歯周病の患者さんも積極的に治療をし、定期検診を行っています。
その1例の研究を紹介します。

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重度の歯周病患者さんを歯周外科までして治療したあと、3-6ヶ月定期検診を14年間したときにどのくらい歯が残ったか見たものです。
結果を見てください。

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定期検診に入る際に1330本あった歯のうち、歯周病の再発で抜歯になったのはわずか1%だけという結果でした。初診時、50%以上骨吸収があったのにです。
どうして、これほどすばらしい結果がでたのでしょう。
その大きな要因を説明する次の表を見てください。

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ご家庭でのプラークコントロールを治療開始から定期検診14年目までみたものです。

プラークが付いている方から2>1>0であり、プラークスコア0というのは、とてもお口がきれいに磨かれていることを示します。

初診時、プラークスコアは、0の人もいれば、2の人もいますが、定期検診期間中は、一貫して、プラークスコアは0に保たれていることがわかると思います。

つまり、重症化した患者さんの場合、かなり高いレベルでプラークコントロールが維持されなければ、歯は長持ちしないということです。

もちろん、これに、歯科医のスキルや、歯科衛生士のスキル、ほかの全身的なリスクの有無などさまざまな条件が重なったときのみ、このように良好な結果がでると考えたほうがよいと思います。

ご自分自身が歯周病治療の一端を担い、みずから治療者となって積極的にプラークコントロールをしていただく必要があるのです。

このように歯周病治療には、患者さん自身が治療者となり、積極的に自分自身を治療していただく必要がありますが、中でも、全身的なリスク改善についてはとても大切です。
さまざまなリスクファクター(危険因子)が報告されていますが、その最大のものは、
タバコです。

歯周病のリスクと骨吸収の関係

実は、タバコは骨吸収にかかわるリスクファクターの中で最大のものです。

歯科医のうでや、定期検診の有無、歯周病原菌の有無よりも強大なリスクファクターなのです。
ですから、わたしは、喫煙者の重度歯周病患者さんには、必ずこう説明します。

「本当に、歯を残したいならタバコをやめないといけません。」

その意味で、タバコ依存度テストなどを行ったり、ニコチンパッチなどを紹介したりして患者さんの禁煙も出来るだけサポートするように医院として取り組んでいます。
したがって、うちのスタッフで喫煙者はおりません。

就職採用の条件にタバコをすわないことというのがあるためです。
それから、最後に少数ではありますが、侵襲性歯周炎といわれる比較的若いときから急激に進行する歯周炎の治療についてお話します。

ハイリスクの歯周炎とそうでない歯周炎の治療

当院では、こうした極めてハイリスクの歯周炎とそうでない歯周炎の治療を分けて考えています。

すなわち、前者の場合は通常の治療に加えて、歯周基本治療前後に細菌検査を行って、抗生剤を併用した上で、比較的短期間に(1か月以内を目安に)一気にデブライドメントを行っています。(歯周病原生細菌のPCR検査に基づき抗菌療法)さらに、歯周組織再生療法なども積極的に行っております。

また、そうした患者さんの特徴として家族歴といって、その配偶者やお子さんもリスクが高いことがわかっていますので、家族単位の受診をお勧めし、家族単位で歯周病原菌をなくすようにつとめています。