治療は誰が決めるの?

先日、お子さんを定期的に連れてきていたお母さんから質問をうけました。

「左下の奥歯2本(よく見ると6歳臼歯と12歳臼歯)がないんだけど、
ブリッジをかけるのにその両脇(右下5と8)だけでなく、糸切り歯の後ろも削りますとのことで、まったくきれいな白い歯を削られてしまった。しかも保険では、銀歯になってしまうとのこと。これってどう思います?」

確かに保険治療のルールでも、力学的な観点からもブリッジで治療するなら、糸切り歯の後ろも削った判断は間違えなかったのですが、
やはり、最大の問題点は、削る前にきちんとした相談が担当医となされていなかったことだと思いました。
一般的に欠損を補う方法は、ブリッジのほかにも、インプラントや義歯がありますし、この方の場合は、親知らずの移植も選択肢でした。
そして、それぞれの治療選択肢には、それにかかる期間や費用、それによって治療したものがどのくらいもつか(予後)があります。
したがって、歯科医師は、術前に治療選択肢および、その治療がどんな治療か、また、それにかかる期間・費用・予後について公平に伝える必要があります。
そして、それを受けて患者さんが治療を決定するのです。
命にかかわるガンでさえ、たとえば乳がんのようなガンでは、例え生存率が少し落ちても乳房温存術を選択する患者さんがいる現在では、歯科では、このステップは、必ず必要です。これがいわゆる「インフォームチョイス」です。
当院では、全ての患者さんでこのステップを踏んでいます。
それが医療の基本と信じているからです。
こうした説明が、医療のすみずみまでいきわたることを願っています。

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