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根管治療

根管治療

―顕微鏡歯科―

歯の内部には根管という組織があり、それを歯髄が満たしています。歯髄には、血管と神経が含まれています。
むし歯などで感染が歯髄まで及んだり、過去に神経を取っている根管が再感染したりすると、根管治療が必要となります。

根管治療

根管治療は、家作りに例えれば基礎工事といえる治療です。
その目的は、一言で言えば、根管内の無菌化です。
ところが、いったん根管に感染が及ぶと、根管内を完全に無菌化することはできなことがわかっています。

細菌は1000分の1ミリという大きさであること、根管内の形態は非常に複雑で、側枝といわれる枝分かれや横道が多数あることの2点の理由から、根管内の完全な無菌化は難しいといわれています。

根管治療2

欧米では、歯科においても専門医制度が発達しており、根管治療しかしない専門医がいますが、そうした専門医の治療成績(成功率)においても、初めて神経をとる抜髄で90%、感染根管治療においては50~60%という報告があります。

(参考文献→宮下裕志:科学に基づく歯内療法への方向転換11-根管治療の予後(3)、 歯界展望、97:1023~1028.2001)

医科において、『この手術の成功率は50~60%ですが、手術を希望しますか?』と言われると考え込んでしまう方も多いと思いますが、実際、感染根管治療の成功率は低いといえます。

根管治療は、2つのステップに分かれます

根管形成・拡大という第1ステップ、根管充填という第2ステップです。
むし歯ができてしまうと、むし歯菌により感染した歯質を削り取り、つめやすいように形態を整えて、詰め物をします。

根管治療をこれに例えると、むし歯菌により感染した歯質を削り取ることが根管形成、根管充填しやすいように根管の形を整えるのが根管形成、無菌化に抵抗しわずかに残る細菌が後に増殖するスペースを与えないように根管内を消毒・密閉する作業が根管充填といえます。

この根管治療の最初から最後までを通じて、もっとも大切なことは、無菌的処置といえます。つまり、滅菌された器具を用い、ラバーダムなどを用いて唾液からの根管内汚染を防ぐことがとても大切です。

ラバーダム
ラバーダム

日本の保険制度は、総じてメリットの多い世界に冠たる制度ですが、根管治療に限っていえば、非常に多くの問題を抱えています。根管治療における日本と海外の治療費の差の表を見てください。

歯科治療費比較

大臼歯といわれる奥歯で見てみると、108011円のアメリカと5839円の日本の治療費の差は歴然です。

欧米の専門医は、徹底した無菌的処置の土台の上に、マイクロスコープと呼ばれる顕微鏡やさまざまな最新の治療機器を駆使して治療を行います。

万一、欧米の専門医がラバーダムをせず根管治療を行い、根管充填も不十分で、後に根尖病変ができてしまい裁判で訴えられれば、100%敗訴しますが、日本においては、ラバーダムを根管治療に用いる割合が極めて低いことがわかっています。(一説によると、5%程度!?)日本の歯科医の意識が低いといえるかもしれませんが、治療にかかるコストが保険制度により保障されていないことも大きな問題です。

事実、2008年4月の保険改正によりラバーダム防湿にかかるコストは、それまであった1回100円の保険点数が削除され、ラバーダムをしても1円も請求できないしくみになってしまいました。日本の保険制度では、根管治療開始時と根管充填時に根管治療に認められたほとんどの保険点数が配分されており、一番時間を要する根管形成・拡大にかかる時間や技術・手間を考慮した保険点数はありません。あるのは、根管形成・拡大を行ったあと根管に薬剤を貼薬する保険点数100円から200円程度だけです。

前回神経をとり、今回、根管形成・拡大を1時間かけて行おうが、2時間かけて行おうが、その日の根管治療に関する保険点数は、薬剤の貼薬代の100円から200円程度しかありません。これでは、まじめに治療すればするほど、利益が低くなるわけです。

つまり、根管治療の質は、医療者の良心によってのみ保たれているのです。

当院での根管治療の取り組み

そこで当院での根管治療の取り組みをお話します。

まず治療開始時には、根管治療とはどういう治療か?その難しさ、成功率をお話します。
その上で患者さんの歯の現状、および根管治療の必要性、さらには、そうした情報提供の後に、根管治療を行うかどうかの最終判断を患者さんご自身にしていただいています。また、私自身(院長)は根管治療の専門医ではありません。

とびぬけた技術を持っているわけではありませんが、最低限、根管治療にかかわる器具の滅菌とラバーダムなどを極力使用し、唾液からの根管汚染はなるべく避けるようにしています。また、歯科用の顕微鏡を自費・保険にかかわらず使用し、根管形成・拡大を出来るだけ丁寧に行い、術後に根管充填の質(治療結果)については説明するように心がけています。

根管治療に顕微鏡を使用するかしないかの違いを例えると、部屋の掃除をする際に明かりをつけてゴミを見ながら汚れをとるか、真っ暗闇で手探りで汚れを探すかに似ています。

そして、どうしても私で治しきれないような歯に対しては、外科的な治療選択肢の他にも、根管治療の専門医を紹介する選択肢も説明しています。

歯科医は、よく「この歯は抜くしかありません」と患者さんに説明しますが、これには、2つの意味があると思っています。

  1. 私の知識・技術では「抜くしかありません」
  2. 現在の歯科医療・医学では「抜くしかありません」

私は、1、のようなことでみなさんの歯を抜きたくないと考えていますので、必要な場合は、積極的に自分よりスキルの高い専門医を紹介しています。
もちろん、そうしたことが少しでもないよう継続的に勉強を続けています。

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